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私が最初で最後の告白をした彼。
出会いはクラブ。横にいたスーツの男性、チラッと顔を見たら目が合った。ニコッて笑ってくれて恥ずかしくて目を逸らした。きっと彼はクラブ慣れしてる人だと感じてそっと後ろに下がった。当時はまだ数回しかクラブで遊んだことなかったから後ろの方で友達と壁に寄り掛かってお酒を飲んだ。
そうしてると、なんと先ほどのスーツの彼が目の前に現れた。スッと私の手を握ってお決まりの文句、会話。たったの数分が長く感じた。連絡先を交換すると彼はまた人混みの中へ。
何回か会ううちに彼のことが好きになった。
好きになってはダメだと思った。
でも好きになってしまった。
週末の朝方、朝まで飲んでた彼から電話が来ることがあった。
嬉しかった。
コンプレックスなこの顔を好きって言ってくれた。
握った手の感触を覚えてくれてた。
誰からも似てるって言われる友達のことを全然似てないって言ってくれた。
告白したけどダメだった。分かってたことだった。ただの夢だった。夢をみていたかった。
今でも思い出す彼の顔、暗闇、煙草の匂い、スーツ、ネオン、音楽、幸福感。
忘れたいけど忘れられない。
会いたくてたまらない。ときがあった。
恋なんてしちゃだめだしするものではない。